地図のトレース作業をバイブコーディングで効率化しました

はじめに

このコラムは、プログラミングを専門的に学んだことのない私が、「バイブコーディング」(AIと会話しながらプログラムを少しずつ作り上げていく手法)に挑戦した体験記です。当事務所の実際の取り組みとして、ありのままをご紹介します。

今回取り上げるのは、申請図面づくりで地味に時間のかかっていた「地図のトレース作業」を、AIにプログラムを作成してもらい、効率化した話です。

これまでは、地図を手でなぞっていました

行政への申請図面などで使う土地・建物の平面図のうち、それほど高い精度を求められない図面については、座標からきっちり作図するのではなく、公的に提供されている地図などの資料をもとに、線を一本ずつトレース(なぞり描き)して作っていました。

道路の線、建物の線を、地図を見ながら手で写していく。出来上がるのはあくまで下絵ですが、毎回それなりに手間と神経を使う作業でした。

便利な公的データはあるのに、たどり着くのが大変

この作業を効率化できないかと考えました。

国土地理院の「基盤地図情報ダウンロードサービス」(https://service.gsi.go.jp/kiban/)では、地図データを無料でダウンロードできます。さらに「基盤地図情報ビューア」を使えば、そのデータをCADで使える形式に変換することもできます。

ところが、この基盤地図情報ビューアには、特定の住所や場所にすぐ飛べる機能がありません。そのため、編集したい地域を画面に表示させるだけでも、ひと苦労でした。

座標を貼り付けるだけで、Jw_cadに地図が出るように

そこで、座標を入力すると、その地点の地図をJw_cadで編集できる形で出力してくれるプログラムを、AIに作ってもらいました。

使い方はとても簡単です。あらかじめ対象地域の基盤地図情報をダウンロードしておいたうえで、Googleマップで目的の場所の座標をコピーし、Pythonで作ったプログラムにその座標を貼り付けるだけ。すると、指定した半径の範囲の地図情報が、そのままJw_cadで開ける形で出力されます。

結果、トレースがまるごと不要になりました

これにより、道路の線や建物の線を手でなぞる作業が、まるごと不要になりました。出力されたデータをもとにJw_cadで編集できるので、図面づくりの事務が大きく効率化できました。

スクリプトの公開について

なお、セキュリティ上のリスクがあるため、作成したスクリプトそのものは公開できません。ただ、次のようなプロンプト(AIへの指示文)を打ち込むことで、同じようなものを作成できるかと思います。

掲載するプロンプトはあくまでも参考です。自社の利用実態に合わせて修正してご利用ください。また、このプロンプトの入力により発生したいかなる事項につきましても、責任を負いかねますことをご了承ください。

参考プロンプト

↓ 下の枠の中をコピーして、お使いのAIに貼り付けてください。

Windowsのパソコンで動く、Python(追加のライブラリは極力使わず、標準ライブラリ中心)の
プログラムを作りたいです。専門用語が苦手なので、各段階で動作を確認しながら少しずつ
進めたいです。コードには日本語のコメントを付けてください。

【やりたいこと】
緯度経度を入力すると、その地点の周辺にある「道路の線」と「建物の線」だけを切り出して、
Jw_cadで開ける図面ファイル(SFC形式)として出力したい。
出力された図面は、Jw_cadでそのまま編集できる状態にしたい。

【前提】
国土地理院の基盤地図情報ダウンロードサービスから、対象地域の地図データ(GML形式)を
あらかじめダウンロードして、パソコンに置いてあります。

【入力】
・Googleマップからコピーした緯度経度(「12.3…, 456.7…」のようなカンマ区切りの文字列)
・切り出す半径(メートル単位。省略できるようにして、省略したときは決めた既定値を使う)

【処理の流れ】
1. 入力した緯度経度から、対応する地図データ(メッシュ)を判定し、そのファイルを探す
2. その地図データから、道路の線と建物の線だけを取り出す
3. 入力地点を中心に、指定した半径の範囲内のものだけに絞り込む
4. 緯度経度を、平面直角座標系(メートル単位)の「実際の寸法」の座標に変換する
5. Jw_cadで開けるSFC形式で書き出す

【守ってほしいこと】
・図面は縮尺をかけず、実際の寸法(実寸)で書き出す
・Jw_cadで文字化けしない文字コード・改行で保存する
・書き出したあと、自動でJw_cadが開くと助かります

おわりに

AIは、こうしたスクリプトをかなり早く作ってくれます。ご興味があれば、一度試してみてはいかがでしょうか。