建設業の財務諸表づくりをバイブコーディングで自動化しました

はじめに

このコラムは、プログラミングを専門的に学んだことのない私が、「バイブコーディング」(AIと会話しながらプログラムを少しずつ作り上げていく手法)に挑戦した体験記です。当事務所の実際の取り組みとして、ありのままをご紹介します。

今回取り上げるのは、建設業許可の届出で使う「建設業財務諸表」の作成です。会社の税務申告用の決算書をもとに、建設業の様式へ数字を写していく——毎年の決算変更届や経営事項審査(経審)のたびに発生する、この地味に時間のかかる転記作業を、AIにプログラムを作成してもらい、自動化した話です。

建設業財務諸表とは?決算書を見比べて書き写していました

建設業財務諸表は、建設業許可を受けた会社が、税務署へ提出する決算書とは別に、建設業法で定められた様式に沿って作り直す財務書類です。建設業の決算変更届や経営事項審査(経審)のときに提出が求められます。

科目の名前も並びも決算書とは違うため、これまでは決算書を見比べながら一つずつ数字を写し、千円単位に直し、合計を計算し……と、時間のかかる作業でした。

数字を扱う仕事ですので、写し間違いや計算違いにも神経を使います。ここを何とかできないか、というのが今回の出発点です。

AIに覚えてもらったこと

自動化にあたって、私のほうでAIに次の3つを教えました。

  • 建設業許可申請の手引き
  • 手引きに載っている勘定科目(かんじょうかもく=会計の項目)の説明
  • 実務でよく出てくる科目の「対応表」——税務申告の科目を、建設業様式のどの科目に読み替えるかをまとめた表

仕組みの流れ

  1. GoogleクラウドのAIサービス「Vertex AI(ヴァーテックス エーアイ)」に、税務申告決算書のPDFを渡します。AIは、そこに書かれた科目名と金額を読み取ってくれます。
  2. 読み取った情報を、Python(パイソン=プログラミング言語)で組んだプログラムが受け取り、決められたルールどおりに建設業財務諸表のExcelへ流し込みます。

ポイントは、AIにお願いするのは「文字と数字を読み取る」ところまで、という点です。そこから先の転記や計算は、あらかじめ決めた手順のとおりに機械が淡々とこなします——
ですから、同じ決算書なら何度やっても同じ結果になり、合計が合っているかの確かめ算も自動で行えます。

お客様の情報は、安全な場所だけで処理しています

行政書士には守秘義務があります。お客様の決算書という大切な情報を扱う以上、安全性は何よりも優先しなければなりません。

当事務所が使っているVertex AIは、入力したデータをAIの学習に使わず、処理が終わればデータを残さない「ゼロデータ保持」という設定で、Googleの承認を受けています。データの処理も国内(東京)のサーバーで行われます。お客様の情報を安心してお預かりできる環境で作業しています。

方針さえ決めれば、あとはお任せできました

今回のもう一つの発見が、「クロードコード(Claude Code)」という道具です。AIに指示してプログラムを作る仕組みで、少し手の込んだソフトのようなものを作るときは、ブラウザで使うAIより格段に便利だと感じました。

というのも、クロードコードは——プログラムを書き、実際に動かし、結果が正しいか確かめ、間違っていれば直してまた動かす——
この試行錯誤を、自動で繰り返してくれるからです。

以前ブラウザ版のAIでプログラムを作ったときは、「作る→動かす→直す」を私が手作業で何度も往復して、たいへん時間がかかりました。今回は、AIどうしが賢そうなやり取りを重ねながら、どんどん精度を上げていってくれます。

方針が固まって、あとは「動かして、手直しして」の繰り返しになったところで、「では、あとはよろしくやっておいてください」と伝えて帰宅しました——
後日その仕上がりを見て、AIの進化のすさまじさを実感しました。

それでも、実務の勘どころは人の仕事でした

一方で、AI自身は実務の現場に立っているわけではありません。「この欄はこう作る」「この数字は別の書類と一致していなければならない」——
そうした実務のワンポイントは、やはり人の知恵が必要でした。

おわりに

当事務所では、VS Code(ブイエス コード=プログラムを書くための無料ソフト)にクロードコードを入れて使っています。

事務作業には、決まった手順の繰り返しで時間を取られている場面が、まだまだたくさんあります。

そうした自動化を考えておられる方は、クロードコードを一度試してみてはいかがでしょうか。

なお当事務所では、建設業許可の取得から毎年の決算変更届の対応をしております。

財務諸表の作成や各種手続きでお困りの建設業者様は、お気軽にご相談ください。